2014年3月24日月曜日

チベット語・ラダック語勉強ノート

以前お知らせしたとおり、私の勉強ノートをちょっとお見せしましょう。

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私は、正式にチベット語を習ったことはありません。最初はチベットやラダックに行って、会話帳を参照しながらブロークンなチベット語やラダック語をしゃべっていただけです。

チベット語の文献も読もうとしましたが、とても歯が立たない(笑)。それで自分の馬鹿さ加減にほとほと嫌気がさし、一念発起してチベット語の勉強に本腰を入れたわけです。

そうですね、1年くらいかかったでしょうか。

勉強に使った主なアイテムは、

<チベット口語>
・星実千代 (1991) 『エクスプレス チベット語』. 白水社, 東京.
・ロサン・トンデン、石濱裕美子+ケルサン・タウワ・訳 (1992) 『現代チベット語会話Ⅰ』. 世界聖典刊行協会, 東京.
・ロサン・トンデン、ケルサン・タウワ・訳 (1995) 『現代チベット語会話Ⅱ』. 世界聖典刊行協会, 東京.
・Sandup Tsering+Melvyn C. Goldstein (1996) LONELY PLANET TIBETAN PHRASE BOOK (2ND ED.). Lonely Planet, Howerton (Australia).
・星泉+浅井万友美 (2005) 『旅の指差し会話帳 65 チベット』. 情報センター出版局, 東京.
・北村甫+長野泰彦 (1990) 『現代チベット語分類辞典』. 汲古書院, 東京.
・星泉 (2003) 『現代チベット語動詞辞典(ラサ方言)』. 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所, 府中.

<チベット文語>
・山口瑞鳳 (2002) 『概説 チベット語文語文典』. 春秋社, 東京.
・稲葉正就 (1986) 『増補版 チベット語古典文法学』. 法藏館, 京都.
・矢崎正見 (1999) 『増補改訂新版 初心者のための独習チベット語文法』. 出帆新社, 東京.

<チベット語辞書>(注1)
・Sarat Chandra Das (1995) A TIBETAN – ENGLISH DICTIONARY. Book Faith India, Delhi. ← Original : (1902) Bengal Secretariat Book Depot., Calcutta.
・Melvyn C. Goldstein+Ngawang Thondup Narkyid (1986) ENGLISH – TIBETAN DICTIONARY OF MODERN TIBETAN. LTWA, Dharamsala. ← Original : (1984) Univ. of California, Berkley
・ ケルサン・タウワ (2003) 『チベット語辞典 蔵日・日蔵』. カワチェン, 東京.
・Rangjung Yeshe (2003) TIBETAN – ENGLISH DICTIONARY OF BUDDHIST CULTURE VER.3 ON CD-ROM. Rangjung Yeshe Publications, Kathmandu. (注2)

<ラダック語>
・Rebecca Norman (1994) GETTING STARTED IN LADAKHI. Melong Publications, Leh.
・Devidatta Sharma (2003) TRIBAL LANGUAGES OF LADAKH (Part Two). Mittal Publications, New Delhi.
・Thupstan Paldan+Sanyukta Koshal、土屋守・訳 (1982) 『ラダック人がつくったはじめてのラダック語会話テキスト』. あむかす, 東京.
・ジュレー・ラダック (2008) 『ラダック語会話帳』. ジュレー・ラダック, 東京.
・Abdul Hamid (1998) LADAKHI - ENGLISH - URDU DICTIONARY.  Melong Publications, Leh.

<ザンスカール語>
・Devidatta Sharma (2003) Salient Feature of Zangskari. IN : Sharma (2003) TRIBAL LANGUAGES OF LADAKH (Part Two). Mittal Publications, New Delhi.
・HOSHI Michiyo+Tondup Tsering (1978) ZANGSKAR VOCABULARY : A TIBETAN DIALECT SPOKEN IN KASHMIR. 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所, 東京.

あたりになります。

プリク語、バルティ語、ラーホール・トゥー語、スピティ語、ニャム語(上キナウルのチベット語)などは、全部現地で会話帳を作って、単語・発音の勉強までやっていますが、文法の勉強はまだ途中です。

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ここでお見せするのは、Sharma(2003)を勉強した時のノート。











同書にはラダック語の発音が記されているだけですが、それをすべてチベット文字に還元してあります。綴りはNorman(1994)に従いました。

私はチベット語から入ったものですから、ラダック語をチベット文字に直し、それをチベット語(口語/文語)と対比することでラダック語文法を理解しました。

いきなりラダック語、というのもありでしょう。チベット語→ラダック語という順序は、「私はそうした」というだけの話です。自分に合った方法をとればいいと思います。

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ラダック語文法は、チベット語文法としてほぼ理解できますが、ラダック語独自の単語や文法も少なからずあります。

チベット語口語とは一致しないが文語と似ている、というケースもあります。チベット語文語・口語にもない文法・単語も出てきます。それがいったいどこから来たものやら、また単語の綴りはこれでいいのやら、わからないことだらけです(注3)。

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現地でいろいろ話したり調べたりすれば、もっといろいろなことができるのですが、現状では行く機会も金もないので、こうやって駄文を書いたりして欲求を発散するのみです。

チベット語文献では、『ンガリー王統記 吐蕃編』、『雪山ティセのボン教聖地目録』、タシ・ツェリン先生のケサル論文などは翻訳が済んでいるんですが、どういう風に日の目を見させようか思案中。

また、十年位前にTさんにコピーしていただいた『gung thang gdung rabs』も、目次を訳しただけなので、本文もちゃんとやらなきゃなあ(系図は作ったが・・・)、などと考え中。あと2冊出ている『ンガリー史』とか『ラダック僧院大全』も訳文として、なにか形にしたい。

まあ、死ぬまでにはいくつかは物になるかも、と楽観的に考えておわり。

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(注1)
『蔵漢大辞典』やGoldsteinの『蔵英辞典』もほしいのですが、まだ手が出ません。たまに大きな図書館に行った時に使うくらいです。

Dasの辞書はインド版。紙が厚いので辞書自体も分厚いです。日本版を見たら、厚みが半分くらいになっていて驚きました(笑)。あと、Dasの辞書はボン教用語が豊富で好みです。

Jaschkeの辞書はどうも肌に合わないので、今のところ使っていません。その内容は、DasやRangjung Yesheに反映されているらしいので、それでいいか、と。

(注2)
これは基本的に蔵英辞典なのですが、全文検索もできるので、ある程度英蔵辞典としても利用可能です。同辞典はオンラインで無料で利用できますが、全文検索はできません。CD-ROM版を買うと、こういう利点もある、というお話。

私はこれにDan Martin先生のシャンシュン語辞書(旧版)ファイルも入れて、シャンシュン語電子辞書としても使っています。便利ですよ。

(注3)
解明のヒントは、カム語やアムド語あたりにありそうな気もしますが、まだ勉強していません。すいません。

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