2019年5月28日火曜日

代々木の魔窟 東豊書店 2019年6月末で閉業

代々木会館に何やら動きがあった、と聞いて約10年ぶりに行ってみたのが3年前。

もう少し大丈夫そう、とはわかったものの、その後行くたびにだんだん店主が気弱になってくるので、気になってはいた。

その辺の話はこちらでどうぞ。

2017年12月2日土曜日 代々木の魔窟 東豊書店まだ健在・・・だが・・・
2016年9月21日水曜日 代々木の魔窟 東豊書店 続報
2016年6月7日火曜日 代々木の魔窟 東豊書店 健在なり!

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その後何度か行ってみて、今度こそ本当に動きがあったようだ。代々木会館は登記も済んで、すでに転売されているらしい。あとは再開発を待つのみ。

というわけで、さすがの店主も6月末(7月にずれ込むかも)に閉業を決めたらしい。

残念至極だが、考えようによっては、店主(90歳!)の体が動くうち、あるいは店やビルで事故が起きてしまう前に閉業できるのは、かえってよかったかもしれない。

なにせ、屋上をはじめとして(もう半分崩れかけてる)、いつどこが崩壊してもおかしくない状態のビル。

あとは、あの大量の本がどうなるか・・・。ホントどうなるんでしょうか?

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というわけで行ってきた。

閉店まで全品半額セール。見逃せない!ここは最近の本は値付けが高いので、なかなか買えない本が多い。狙い目は1980年代の古い本なのだが、それらは本棚の上に積まれた山の奥深くに潜んだまま・・・。

今回は表に出ているブツを回収。6月になって奥地に潜んだ本が出てきた頃にもう一度行こう。

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収穫は6冊。相変わらず、チベット周辺史、西域史、民族史だ。東豊書店の客では異端だろう。

(1) ཀན་སུའུ་ཞིང་ཆེན་ཀན་ལྷོ་བོད་རིགས་རང་སྐྱོང་ཁུལ་རིག་གནས་ཅུའུ་ཡིས་བསྒྲིས་པ། kan su'u zhing chen kan lho bod rigs rang skyong khul rig gnas cu'u yis bsgrigs pa甘南藏族自治州文化局・編著 (1989.4) བོད་ཀྱི་དམངས་ཁྲོད་ངག་རྩོམ་ཁུ་བྱུག་མགྲིན་གླུ།  bod kyi dmangs khrod ngag rtsom khu byug mgrin glu/ 『藏族民間叙事詩集(藏文)』. 465pp. 青海民族出版社, 西寧.



こういう古い本がもっとほしい。特に藏文本。しかし、それらはまだ奥地に・・・。出て来るのはいつ頃か?

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(2) 《羌族簡史》編写組 (1986.9) 『羌族簡史』(国家民委民族問題五種叢書之一 中国少数民族簡史叢書). pls.+3+2+151pp. 四川民族出版社, 成都.



そう、こういう古いの(笑)。まあ一部コピーでは持っていたのだが・・・。

類書の『☓☓☓☓』も、あそこにあるのはわかっているので、もう少し取りやすくなった頃に買いに行こう。

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(3) 達倉宗巴+班覚桑布・著, 陳慶英・訳 (1986.12) 『漢藏史集 賢者喜楽瞻部洲明鑑』. 3+408pp. 西藏人民出版社, 拉薩.



十数年前から目をつけていたのだが(笑)、ようやく買えたよ。

これは、どういうわけかハードカバーで、表紙にタイトルもなく、値段も高い。なんでだろう?と不思議だったのだが、訊いたら、台湾産の海賊版なんだって。

あーねー、と納得。

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(4) 王文光・編著 (1999.9) 『中国南方民族史』. 5+2+369pp. 民族出版社, 北京.



この辺になると、珍しくもなんともないのだが、この機会を逸すると、たぶん一生買わない。

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(5) 王欣 (2002.7) 『吐火羅史研究』(西北民族研究叢書). 2+4+3+4+245pp. 中国社会科学出版社, 北京.



これもお馴染みなのだが、買いそびれていたもの。半額でようやく他店と勝負できる値付けになった。

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(6) 史金波 (1993.11) 『西夏佛教史略』. 5+xiv+pls.+381pp. 臺灣商務印書館, 臺北.



これは、1988年に寧夏で出た本の台湾復刻版。相当少部数だったので、その寧夏版は見たことすらない。台湾版でも貴重品だ。

20年以上前の本だが、まだピカピカ(笑)。当時台湾の印刷物は、大陸とは比較にならないほど良質であったが、今はもうだいぶ追いつかれている。

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そういえば、前に紹介した

・林冠群 (2011.8) 『唐代吐蕃史研究 བོད་ཀྱི་བཙན་པོ་ལོ་རྒྱུས། bod kyi btsan po lo rgyus/』(聯經學術叢書). xix+850pp. 聯經出版事業, 台北.

も、追加が入荷していてびっくり。こんなもん、オレ以外に誰が買うというのだ!?

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今回は行ったらすでに客が2人もいてびっくり。+自分+店主・簡さんで4人。過去最高の人口密度。

Web Newsで取り上げられて、最近はさらに人口密度が増しているそうな。その分冷やかし、野次馬も増加とのこと。

うーん、ゆっくり探索できないんじゃ、しばらく行けないなあ。6月になったら、平日の朝早く行ってみよう。

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まあ、でもよい。これはもうお祭りなのだ。中文書マニアの力だけでは、あの本すべてを片付けることなど不可能だし。

ここは、十年以上ご無沙汰の人、初めて行ってみようという人、誰でも行ってほしい。そして、行った時の記録を残しておいてほしい。その記録自体が文化遺産となる。

また、その中から、あの本の山を救う人が、現れるかもしれない(といいなあ)。

ただし、買いもせず、冷やかしだけで、店主に迷惑をかけるだけの人はご遠慮願いたい。

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あと1ヶ月あまり。あの本の山がどれだけ掃けるのか、楽しみではある。

さて、今度こそホントに最後。いつ行こうか・・・。寂しい・・・。