2016年9月21日水曜日 代々木の魔窟 東豊書店 続報
2016年6月7日火曜日 代々木の魔窟 東豊書店 健在なり!
で報告した「代々木の魔窟」こと(命名したのは自分だが)東豊書店に久々に行ってみました。
なんだかんだで1年ぶりくらいになっちゃったな。
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というのも、東豊書店が入居している代々木会館に動きがあったという噂があったため。
これが2017年12月2日現在の代々木会館
あれ?何も変わってない。
しいていえば、1階の「きぬちゃん食堂」の横に新たにパイプが組んであるかな?程度。これ、「解体」の足場という感じじゃないなあ?なにか補強じゃないの?
きぬちゃん食堂も東豊書店ももちろん営業中。
「解体が始まった」というのはデマでした。
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デマの元はこれらしい↓
・Twitter > 滝本淳助 > (2017年)11月29日 僕の好きな 朽ち具合はこんな感じ。代々木駅のすぐ近く。もう解体工事が始まっています。
https://twitter.com/takimotonosekai/status/935684361956950016
1階の横に白いビニールシートがかけられ、なにか作業がありそうな雰囲気。
しかし変だ。今日の風景とは全く違う。
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で、その写真をよくよく見ると・・・なんと、1階にあるのは笠置酒場じゃないか!きぬちゃん食堂じゃない!
あそこに笠置酒場があったのっていつだ?
代々木会館は10年くらい見てなかったので、あそこが笠置酒場からきぬちゃん食堂に替わったのがいつか知らない。
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で、調べてみた。きぬちゃん食堂が開店したのは2014年11月らしい。ということは、滝本氏の写真はそれ以前の、「昔の写真」だ。ヘタすると10年くらい前かもしれない。
滝本氏は、代々木会館はとっくに解体されたと思い込んでいるようだが、どっこい、代々木会館も東豊書店もまだ生きているのだ。
滝本氏が知ったら驚くでしょうね。
これで安心。
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で、ひと安心したところで、東豊書店へ。
行ってみると、ドアは開いてるのに誰もいない。電気も半分消えている。しょうがないので、手持ちのハンディライトで照らしながら本探索(笑)。
こんな本屋、他にないよね。
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いつもあまり時間がなくてじっくり見れないのだが、今回はたっぷり時間をかけて見た。だってオヤジさん、20分くらい来ないんだもん(笑)。
で、よくよく見ると、東豊書店は古い本ばかりと思い込んでいたが、表面に並んでいる本はどれも結構新しい。といっても10年以内の本が多いんだが。
意外に本が入れ替わっていることに、今さら気づいた。
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そのうちオヤジさんが来て電気をつけてくれたので、ようやく落ち着いて探索再開。
今回の収穫は以下の通り。
(1) 霍巍 (1995.5) 『西藏古代墓葬制度史』(西藏文明研究系列). 8+6+5+405pp. 四川人民出版社, 成都.
(2) 阿壩藏族自治州概况 編写組・編 (1985.10) 『阿壩藏族自治州概况』(国家民委民族問題五種叢書之一 中国少数民族自治地方概况叢書). 2+2+269pp. 四川民族出版社, 成都.
(3) 韓百詩(Hambis)・著; 張国驥・訳 (2005.6) 『元史・諸王表箋証』(岳麓書院文庫 中国古代史研究系列). iii+iii+4+356pp. 湖南大学出版社, 長沙(湖南省).
← フランス語原版 : Louis Hambis (1945) LE CHAPITRE CVII DU YUAN CHE : LES GENEALOGIES IMPERIALES MONGOLES DANS L'HISTOIRE CHINOISE OFFICIELLE DE LA DYNASTIE MONGOLE (T'oung Pao, XXXVIII). xii+182pp.+tabs. E.J.Brill, Leiden.
結構散財したなあ。
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(1)は、前からほしかったのだが、いつの間にかどこの店でも見なくなり、買うチャンスを逃していたもの。
今もあるのは東豊だけになってしまった。で、今日思い切って買ったのだ。
なお、東豊にはこの本、在庫がもう1冊あります(笑)。
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(2)は、本棚の上に積んである山の、最下部から掘り出してもらったもの。
とても恐ろしくて掘り出す気にならなかったのだが、オヤジさんが「ダイジョブ、ダイジョブ、出してあげるよ」と、ヒョイヒョイ脚立に乗って、山を崩し始めた。
オヤジさんもう90歳なのに・・・。とてもそんな年には見えないし、足腰もしっかり。驚き。長生き、体力保持には、どうも書店業務が適しているらしい(笑)。
その崩し方、崩した本の積み方にも東豊流コツがあるらしく、素人目には危なっかしく横に積んでいく。脚立に乗りながら、あの狭いスペースのどこに余分な本を積んでいくのか?
(あの場所を知っている人には)謎でしょう?私も狐につままれたようでした???
それで出てきたこの本、30年前の本なのにピカピカ。あはは。入荷してから、ずっと埋もれたままだったんでしょう。640円(笑)。
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それで、その山をどかした部分で、とても恐ろしいものを見てしまった。なんと、あの山の裏にはもう一つ山が隠れていたのだ!
で、その裏山に埋もれていたのは、ピカピカの状態の1980年代の本!驚愕!目玉が飛び出しそうでした。
残念ながら、今回見た裏山には、今必要な本はなかったのだが、余裕があったらほしいような本がウジャウジャ。これらはたぶん、今はどこでも手に入らない。
そんな誰も見ることが出来ない裏山で埋まっているのだよ、この店は。なんということだ!まるで遺跡。
この裏にさらに山が隠れている!
いやはや、ほんとに驚きました。「敦煌・莫高窟」か、ここは!
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(3)はなんと、Louis Hambis(1906-78)の翻訳ではないか。
私は系図オタクなので、チンギス家の系図も巨大なものを作っています。でも、元朝諸王の系図はまだ不十分で、『元史』、『新元史』の諸王表を見ながら、「いつかまとめなきゃなあ」と思っていたところだったので、エイッと思い切って買いました。
これは当分楽しめる。
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今回は偶然、娘さんが訪れたところで、なんかお孫さんの話をされていました。「え、お客さん?」と言われたので苦笑。
ということで、昨年お見かけしたのは奥さんだとわかりました。
なんか、その会話の中で、「沖縄に行ったのは、返還(1972年)前だったナア。それから行ってないヨ」なんていう、なんかスゴイ話が聞こえてきました(笑)。
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帰り際に「まだまだお元気でやってて下さい」と言ったら、「いやあ、私ももう90ダヨ。もう、そろそろ店閉めようかと思って・・・」とのこと。
来るたび、いつも似たようなことを言ってみるのだが、その都度「ダイジョブ、ダイジョブ」と返って来るのだが、今回はついにこの言葉を聞いてしまった。
「えええ?いつですか?」と訊き返すと、
「あと1年くらいかなア」とのこと。
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今すぐ閉店ではないのでちょっと安心したが、それでもあの「魔窟」が1年後にはなくなってしまうらしいのだ。寂しい・・・。
しかし、あの本の行き先もまだ何も決まっていないらしい。うーん、誰かなんとかしてほしいなあ。
少なくとも、あの本の山、というより「大山脈」がゴミになってしまうのだけは避けなくてははならない。絶対に!
さっきも見たように、あそこの品物は、売り物の域をはるかに超えて、文化財の域に近づいている。失われるのは世界の損失である。
なにせ、中国本土や台湾、香港ですら今や入手不可能な本だらけなのだ。ホントですよ。
「古い本だから見つけるのは無理かな?でも東豊ならあるかも知れない」と行ってみて、何度助けられたことか。
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あと何度あそこに行けるかわからないが、できるだけ行って、必要な本はできるだけ採集しておこう。今回もだいぶまけてもらったし(笑)。
なお、今回、『藏族史料集(一)』、『通鑑吐蕃史料』がまだ在庫であるのを発見した(私は持ってるから買わなかったが)。1980年代のこんな本がまだまだあるのだ。
『唃厮囉』も『中国藏族部落』もまだあったなあ。なんで誰も買わない?
みなさんも是非、こういう真の「掘り出し物」を探しだしてみてください。その楽しみ方ができるのも、あと少しかあ・・・
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