と書きましたが、なんとなくわかった。
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以前紹介した
・Klaus Glashoff / Spoken Sanskrit Dictionary VERSION 2(since 2005)(as of 2017/08/28)
http://spokensanskrit.org/
で探したところ、sro そのものはありませんでしたが、
श्रपयते shrapayate 料理する/汗をかかせる/熱する/炙る/焼く
これがいい線行っていそう。
पयते payate 行く/動く/増やす/豊富な/たくさんある
なので、どうやら
श्र shra 熱
の意味になりそうだが、これ単独では出てこない。接頭辞としてのみ現れるのかもしれない。
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チベット語に戻ると、Dasの辞書では、
སྲོ་ sro 熱情
སྲོ་ཤི་བ་ sro shi ba 気が抜ける/意気消沈する
ཐུགས་སྲོ་ thugs sro (西チベット)熱/激情/忿怒/怒り
སྲོ་ཅན་ sro can (Jäshkeの辞書)怒り狂った/激怒した
སྲོ་བ་ sro ba 温める/暖める
མེ་ལ་སྲོ་བ་ me la sro ba 火で暖まる
ཉི་མ་ལ་སྲོ་བ་ nyi ma la sro ba 日で暖まる
འཇམ་པའི་དྲོད་ཀྱིས་བུ་བསྲོ། 'jam pa'i drod kyis bu bsro/ (母の)穏やかな温かさで子は暖まる
とあります。
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こうして見ると、sro にはもともと「熱」という意味があり、それが
熱→熱情→怒り
と転じたようです。あるいは、
sro 熱→ thugs sro 熱情 → (thugs) sro 怒り
のように、意味の発展の上に、thugs(心)が省略された形、という解釈でもいいでしょう。
これが中央チベットでは「古語」に当たるのかどうか知りませんが、「インド起源の言葉が主に西部チベットにだけ残っている」という状況は、例の「方言周圏論」(つまり古い言葉(あるいは文化)がある文化圏の周縁部にだけ残っている)が適用できそうな気もします。
いやあ、わずか1ページの1単語からいろんなことがわかった。楽しめました。
他の言語でも、同じような楽しみ方ができるはずです。
・吉岡乾・著, 西淑・イラスト (2017.8) 『なくなりそうな世界のことば』. 107pp. 創元社, 大阪.
からピックアップして、誰かやってみてください。
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