2017年7月10日月曜日

富山・長野チベット巡礼 (1) 東チベット写真展@長野県佐久市

急に思い立って、富山県と長野県のチベットものを3件巡ってきました。

(2) 富山県南砺市福光 福光美術館 デルゲ印経院チベット木版仏画展
(3) 富山県南砺市利賀 瞑想の郷
(1) 長野県佐久市臼田 佐久総合病院本院 東チベット写真展

訪問したのは、(2)→(3)→(1)の順番ですが、訪問順に紹介していると、(1)の会期が終わってしまうので、順番を変えて紹介します。

(1)の会期は2017/7/14までですから、皆さんお見逃しないよう、是非行ってみてください。行き方などは、最後に紹介します。

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・毎日新聞 > 芸術・文化 > 武田博仁/写真展 東チベット高地80点 佐久・14日まで /長野(2017年7月6日 地方版)
https://mainichi.jp/articles/20170706/ddl/k20/040/102000c

数日前、この記事を発見して、ちょうどいいので、富山の2件と組み合わせて回ってきたわけです。

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由井 格(ゆい いたる)写真展 東チベット高地の自然と少数民族
会期 : 2017年7月1日(土)~14日(金) 10時~17時
場所 : 佐久総合病院本院ふれあいギャラリー
住所 : 〒384-0301 長野県佐久市臼田197
観覧料金 : 無料


由井さんの経歴など

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会場は、病院の1階。待合室横通路のスペースを、ギャラリーとして使っています。いろいろな展示を企画し、通院患者・入院患者・一般訪問者に開放しています。この展覧会では、会場費無料だったそうです(病院と要相談)。

「展覧会はやりたいけど、会場費がなあ・・・」と悩んでいる方にもチャンスを与えてくれる、なかなか素晴らしいアイディアです。


佐久総合病院本院ふれあいギャラリー

行ったのは日曜ですので、通院客はおらず、病院はひっそりしていました。しかし、この写真展目当ての客がどんどん訪れ、由井さんも大忙し。芳名帳も2冊目になっていて、なかなかの盛況のようです。

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写真は約80点。由井さんは、東チベット調査の大家・中村保氏と共に調査活動をしてこられた方です。その調査結果から、ほんの一部を紹介しておられるわけです。

由井さんはもともと登山家ですので、写真展の前半は、ケシや高山植物の写真が並びます。「写真は素人で・・・」とおっしゃっていましたが、どうしてどうして、素晴らしい写真が並んでいます。

私は高山植物への造詣がほとんどなく申し訳なかったのですが、山好きの人が多い信州では、山やこの高山植物の写真が最も皆さんの興味を引いていたようでした。

車椅子で訪れた、入院患者のおばあちゃんも「きれいな花だねえ。山もきれいだねえ」と喜んでいたのが印象的でした。

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山と高山植物の写真中心なのは予想通りだったのですが、後半には東チベット(というより東ヒマラヤ全域)で出会った諸民族の写真がズラリと並びます。カムパばかりではなく、四川・羌族の角塔(羌寨)、雲南の納西族、彝族、傈僳(リス)族など、東ヒマラヤ全域に及んでいます。


東チベット写真展の一部

由井さんの東チベット/ヒマラヤ(四川・雲南・青海・西藏自治区)への調査行は20回に及ぶそうで、その中から厳選された諸民族の姿は濃いですよ。

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特に、チャクテン ཕྱག་ཕྲེང་ phyag phreng 郷城県のカムパたちとの深い交流が興味深い内容です。

チャクテンは、マツタケの産地として有名で、日本にも多く輸入されていますが、そのきっかけを作ったのが、由井さんらのグループだったんだそうです。

地球に好奇心 山の幸に異変あり中国・まつたけ新事情
2001年春 NHK-BS2
制作:パン・プランニング

などで、当地の様子を見たことがある人も多いでしょう。この番組にも由井さんは関わっておられます。

写真展では、その地での祭りの様子も大きく取り上げられています。この辺のカムモの盛装は、ド派手ですねえ。一見の価値あり。

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最近のネタとリンクする内容としては、映画「ラサへの歩き方」で注目を浴びている、五体投地巡礼団の写真もあります。これがまた、「ラサへの歩き方」と全く同じルート上の写真なのです。

写真のグループは4・5人で、サポート・リヤカー2台。私が見たことあるのも、だいたいそんなもの。映画での「巡礼団11人」というのが、いかに規格外れの大巡礼団であるかがわかります。

また写真では、実際に巡礼途中で生まれた赤ちゃん、ロバを連れた夫婦だけの巡礼などの写真もあります。フィクションとはいえ、「ラサへの歩き方」のエピソードが、事実をよく取り入れたものになっていることが実感できますよ。「ラサへの歩き方」ファンも必見ですね。

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由井さんは、麗江についての本の翻訳もされています。

・ピーター・グラード・著, 由井格・監修, 佐藤維・訳 (2011.6) 『忘れられた王国 一九三〇~四〇年代の香格里拉(シャングリラ)・麗江』. pls.+367pp. 社会評論社, 東京.
← 英語原版 : Peter Goullart (1955) FORGOTTEN KINGDOM. xix+218pp. John Murray, London.


装幀 : 桑谷速人

これは、

・ピーター・グーラート・著, 高地アジア研究会・抄訳 (1963.10) 『忘れられた王国』(秘境探検双書). pls.+222pp. ベースボール・マガジン社, 東京.


装丁 : 関根英治

の新訳・完全版になります。新訳版では、原著の白黒写真に加え、由井さん撮影の写真がふんだんに追加されており、より理解しやすい構成になっています。

私はこの本の存在に気づいていなかったので、写真展の現場で購入させていただきました。

なお、今調べてわかったのだが、どういうわけか、この本にはさらなる新訳もあるらしい。

・ピーター・グゥラート・著, 西本晃二・訳 (2014.12) 『忘れ去られた王国 落日の麗江雲南滞在記』. 453pp. スタイル・ノート, 国分寺(東京).

こちらも見たことないので、そのうち見て比較してみよう。

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由井さんのお話は、とにかく面白い。以上のような話はもとより、ここでは書けないようなオフレコ話が、またベラボーな面白さ。みなさんも現場で、ぜひ由井さんのお話を聞いてみてください。

なお、由井さんは現在82歳とのことだが、見た目は60歳代にしか見えない。これも驚きますよ。

会場では「最近チベット方面は、旅行しにくくなった」という話題で盛り上がったのだが、由井さんにはまだまだお元気でいていただいて、東チベットへも行って、色々な調査結果を教えてほしいもんです。

由井さんの話は、写真展だけではもったいない。特に昨今のチベット旅行がしにくい状況下では、その知見はますます貴重なものとなるでしょう。講演などもどんどんやっていただいて、貴重な調査結果を一層知らしめていただきたい、と切に願います。

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臼田は、長野県東部、小海線(八ヶ岳高原線と改称)沿線の町。


小海線沿線(Google Mapより)

もともとは臼田町であったが、2005年に佐久市に合併された。現在は佐久市南部に当たる。

県外からは、北陸・長野新幹線・佐久平から小海線で南へ7駅目、あるいは中央本線・小淵沢から北へ17駅目。ところが、小海線の運行本数は極めて少ない。2両編成ディーゼル車のワンマン運行だったし。

車が使える人だったら、もう現地まで車で行ってしまったほうが早いだろう。

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臼田は小さな町で、日曜ということもあり、駅前商店街には人影まばらだった。

しかし、驚くことに、町中はツバメが大量に飛び交っていた。「ツバメの町」だ。商店の軒下にはどこもツバメの巣が。そういうやさしい町なのだ。


臼田周辺(Google Map)

臼田で面白そうな場所としては、駅の東1.5kmに龍岡城跡(現在は小学校)がある。これは幕末に築城された小型「五稜郭」だ。

こんなの知らなかったなあ。今回は行く時間がなかったが、チャンスがあれば次回ぜひ行ってみたい。

千曲川を渡ってすぐの所にある、稲荷山/稲荷神社もなかなか面白い。参道の階段は、無数の鳥居で埋まっているのだ。


臼田稲荷神社参道

鳥居は、ほとんどが鉄パイプでしたが(笑)。山頂の公園もなかなか気持ちいい。白い塔は給水塔。臼田のランドマークだ。

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臼田はなかなか行きにくい場所ですが、この写真展は行きに苦労した価値のあるものでした。会期末まであとわずかですが、特に東チベット好きには、是非行ってほしい催し物です。


会場で配布されていたポストカード

次回は、福光美術館の「デルゲ印経院チベット木版仏画展」。

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