> バラモンは「お体には様々な吉兆が現れております。
> 天より地に降臨なされた(brul ba)がゆえに
> 神の御子である貴種(gsha')ゆえに
> また、ブラフマーの印である頭蓋骨の隙間
> (Brahmarandhra)がございます。ゆえに
> 『ブルシャ・ナムセー・チドル(bru sha gnam gsas
> spyi rdol=ブルシャなる天神族で頭骨に隙間あり)』
> というお名前を差し上げたいと思います」と述べた。
ここでは「ブルシャ('bru zha/bru sha)」という名称をチベット語で説明しています。きちんと語られてはいませんが、ブル(シャ)氏という名称が先にあり、ブルシャという地名はブル(シャ)氏が住みついたことにちなむものだ、と言いたいようです(注)。
が、これはどう考えても後付けのこじつけでしょう。そもそも舞台がトハリスターンやカラコルムなのに、その名がチベット語で説明できる、というお話には無理があります。
ブル氏は、ブルシャからチベットにやって来たがゆえに「ブル」氏と名乗った、と考える方が合理的です。となると、「ブルシャ」という地名が先にあったとしてと考え、そちらから攻める方が実りは多そうです。
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(注)
ただし、ブル氏始祖ウーセル・ダンデン(ブルシャ・ナムセー・チドル)の年代は、実在したとすれば8世紀前半と想定でき、これはチベット側史料に「ブルシャ」という地名が現れ始める時期と奇妙に一致している。
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