ンガッパ・イェシェ・ドルジェ・リンポチェのシェードゥルは、このカルマ・チャクメーのシェードゥルの流れをくんでいることは明らかです。
カルマ・チャクメーのシェードゥルを見てわかったことは、シェードゥルの対象は、悪霊となった故人の魂ではなく、故人を悪霊ならしめた死神(おそらく一族)であることです。
これを祓い天界に送ることで、あとは通常の葬儀と同じプロセスで故人の魂を供養することになります。
ただしシェー gshedと呼ぶ場合に、この対象は悪霊となった故人を指すのか、悪霊ならしめた死神を指すのか判然としないところがあります。
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CD解説のシェードゥルとカルマ・チャクメー(KC)のシェードゥルには少し違いもあります。
例えば、KCではシェーが逃げ込む対象はリンガであり、板はシェーをとらえたかどうかの指標にすぎません。CDでは、この板とリンガが一体化しているように読めます。私の読み違い、あるいは解説者の勘違いなのかもしれませんが、儀軌のヴァリエーションの可能性もあります。
それから、CDでは調伏したシェーを調伏した後に天界に送りますが、KCではその過程は明瞭ではありません。調伏したシェーをカンドマに渡しているような気配もありますが、はっきりしません。
その意味では、CDの方がより仏教色が濃いと言えます。また、KCの方は、原始ボン教あるいは民間信仰の色彩を強く残している、と言いかえることも出来ます。
KCからCDまで約300年たっていますから、仏教儀礼としての整備が進んだのかもしれません。
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