意外なところでチベットものに遭遇。
・ふみふみこ (2014.10) 『人工精霊 タルパちゃん』(KC Kiss). 123pp. 講談社, 東京.
← 初出 : Kiss plus, 2013年5月号~2014年3月号/Kiss, 2014年4月号, 11月号.
装丁 : 川名潤(pri graphics inc.)
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「タルパ」とはなんでしょうか?このマンガにも軽く説明があります。
同書, pp.6-7.
タルパとは
何もないところからつくりだす
会話のできる架空人物・キャラクターのこと
妄想では自分で考えないと会話できないが
訓練してタルパをつくりだせば
他人と会話しているような会話ができ、
その姿を見ることもできる
タルパのつくりかた
1. つくりたいキャラクターの写真、絵を用意する そしてそのキャラの細かい性格を決める
2. 何回もそのキャラに話しかけ その返事をする様子を想像する その返事は設定したキャラの性格にあった返事を考える
最後に写真や絵を使わず そのキャラを視覚化していく
暗くした部屋で 壁などに向かい合わせに座り 空中に向けてイメージすると 良い
だそうです。
へえ、こんな妄想で作る人格が、けっこう一般的になっていたなんて・・・。
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このマンガに出てくる「タルパ」は、
ペンギン(小言の多いお祖母ちゃんがモデル)=ぽんちゃん(表紙の子)
あまり役に立たない世話を焼いてくれる小人
愚痴を聞いてくれるワニ
相づちを打ってくれるだけのおばあちゃん
迷った時の最後のひと押しをしてくれる仙人
話しかける練習用同級生
俺様系彼氏
コスプレ魔法少女のマスコット
子犬系彼氏
なんだか、あとの方ほどヤバそうですが・・・・。
最近は女子でも、妄想癖があることをカミングアウトする人が出てきていますが、ここまで露わにするようになっていたとはなあ。
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で、「女子の考えることはわかんねーや、ついて行けない・・・」とボヤきつつ読み進めたところ・・・、
同書, p.32
タルパ――――――――
それは無から作り出す
会話のできる架空人物・キャラクターのことである
チベット密教の秘奥義であり
姿も見え 会話もできる
そうした霊体を修行により
作り出すことができるのである!!
これぞチベット三千年の歴史!
「えーっ!?」ですよ。まさか、こんなところにチベット密教が登場するとは・・・。
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というわけで、さっそく調べたところ・・・
何のことはない。すでにWikipediaに項目が立っているではないですか。知らなんだ、そんなポピュラーになっているものだったとは。項目名は「トゥルパ」ですが。
・ウィキペディア > トゥルパ (最終更新 2016年11月18日 (金) 04:50)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%AB%E3%83%91
「トゥルパ སྤྲུལ་པ་ sprul pa 化身」が、発音に従って「tulpa」と表記され、これを英語風読みをして「タルパ」になったようです。
また「英語風の読み」が悪さをしてますね。なんとかならんもんかなあ。
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一方、2ちゃんねらー御用達のVikipedia フリーVIP百科事典には「タルパ」そのものの項目が立てられています。
・Vikipedia フリーVIP百科事典 > タルパ(最終更新日時は 2015年12月17日 (木) 14:45)
http://2ch.me/vikipedia/%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%83%91
意外にまともな記述。「タルパ」の現状についてはこちらを見たほうがわかりやすいでしょう。
「イマジナリーフレンド」という、マンガとほぼ同一の概念が紹介されていますね。
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チベット密教の修行では、神仏を観想し、眼前に神仏が降臨していると想像し、その神仏と自己を同一化させる、生起次第というヨーガを実践します。
降臨した神仏は人や物に宿る場合もあり、その場合が「トゥルパ」になります。特に高位の神仏、あるいは高僧が死後、人に宿る場合、その尊敬語として「トゥルク སྤྲུལ་སྐུ sprul sku」と呼ばれます。
このうち、観想による神仏の降臨を少し曲解し、さらに宗教性を消したものが、このマンガで言う「タルパ」になるでしょうか。
「トゥルパ」が「タルパ」になるまでに、途中に神智学あたりが噛んでいるような気もしますが、今はそこまで調べる気はしないなあ。
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・ポックル/タルパ資料室(2016/02~)
http://tulpa.blog.jp/
というblogもあります。
タルパ誤解の流れ 2016年02月03日
http://tulpa.blog.jp/archives/3534559.html
あたりはなかなかおもしろい。が、あとの項目はタイトルだけで中身なし。宣言したらちゃんと書いてほしいなあ(あっ、人のことは言えない身だった)。
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それにしても、自分の知らないところで、意外な形でチベットものが浸透していることを知って驚いた一件でした。
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