2015年4月18日土曜日

柱建て祭りとKumari(1) 『処女神 少女が神になるとき』詳細目次

まだ書いている途中ですが、もう始めます。おそらく20回を超えるシリーズになります。

こんなになるとは思っていなかったんだけどなあ。ま、いつものことですが。

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・植島啓司 (2014) 『処女神 少女が神になるとき』. 集英社, 東京.

Kumariを取り上げたTV番組にもしばしば登場する植島先生が、30年に渡る調査研究をついにまとめ上げた著作がこれです。あまり話題になっていないのが残念。本自体も、かなり大きい書店、もしくは学術書に強い書店でないと見つからないかもしれません。

これは、初出が「青春と読書」であることからもわかるように、学術書ではないのですが、かなり学術的な内容ではあります。

立ち位置が中途半端な感じはしますが、私のような中途半端な人にはかえってピッタリ(笑)。失礼。

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調査旅行記を時系列順に並べたものを軸としていますから、旅行記として読むことも出来ます。

途中に、ガルシア・マルケス『百年の孤独』やらナボコフ『ロリータ』などの話が挟まります。論を補足するのに必要なのでしょうが、冗長な感は否めない。

結論には曖昧な部分が多く、Kumari調査・研究がまだ発展途上にあることを教えてくれます。論文や学術書ではなく、こういった一般書として発表せざるを得なかったのは、やはりまだ研究のゴールに達していないからなのでしょう。

「さすがにこの辺でなにか形にしておかないとヤバイぞ」という植島先生の焦りが伝わってきそう。

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詳細目次を作ってみました。この本をきちんと読むには、既存の目次では不充分なのです。

目次(詳細版)

003 はじめに-室生寺にて
007     ネパール語の表記その他について
009 目次
013 第1章 処女神クマリとの出会い
013     01 謎-カトマンズ調査一九八二年
018     02 宗教的象徴の性質
021     03 ネパールの歴史的背景
025     04 ネワール社会と仏教
027 第2章 インドラの祭り(インドラジャトラ)
027     01 クマリの山車を追って
030     02 カトマンズ盆地の祭り
033     03 王権強化儀礼
035     04 クマリジャトラ
039 第3章 百年の孤独
039     01 二人の少女
041     02 過剰と欠落
043     03 カトマンズ調査一九九〇年
048-049 図版1-85
049 第4章 女神の源流を求めて
049     01 クマリの起源をたどる
053     02 処女崇拝
055     03 クマリ伝説
058     04 クマリの両義性
061 第5章 仏教とは何か
061     01 仏教の流れ
063     02 ネパール仏教の特徴
066     03 輪廻転生とは何か
068     04 祭りの終わり-カトマンズ調査一九九六年
071 第6章 美人の条件
071     01 イニシエーション儀式
073     02 クマリの身体的条件
077     03 バダ・グルジュ(高僧)インタビュー
082     04 少女を神に祀る風習
084 第7章 ロリータ
084     01 処女の力
087     02 ナボコフ『ロリータ』
089     03 『ロリータ』の受難
093 第8章 祭りの全体像
093     01 インドラという神
098     02 精霊を呼び戻す-カトマンズ調査一九九九年
104     03 インドラジャトラの起源
106 第9章 美の化身アプロディテ
106     01 男が女になる病気
110     02 愛の女神
112     03 神聖娼婦
116 第10章 ロイヤル・クマリ
116     01 EXクマリ-引退したクマリたち
117     02 フィールドワーク
120     03 歴代のクマリたち
123     04 ロイヤル・クマリの日常生活
124     05 スピリチュアルな輝き
125     06 クマリの分布
128 第11章 エコール(学校)
128     01 映画『エコール』
129     02 EXクマリの実態
132     03 西欧的価値観とクマリ
135     04 イノセント
137 第12章 生き神とは何か
137     01 生き神信仰
139     02 パタンのクマリ
145     03 霊力と神であること
149 第13章 すべての女の子が神になる?
149     01 ネパールの魅力
150     02 中世の気配を残す都市
152     03 バクタプルのクマリ
155     04 ダサインの祭り
159 第14章 聖母マリアの出現
159     01 受胎告知
163     02 マリア信仰の浸透
165     03 大女神崇拝の展開
168 第15章 神はどこからやってきたのか
168     01 カトマンズ盆地の南へ
170     02 ブンガマティのクマリ
172     03 クマリの出自をめぐる伝承
175     04 マチェンドラナート神
177     05 祭りの始まり-カトワルダッハ
179 第16章 インド夜想曲
179     01 インドへ
181     02 インド・ネパール調査二〇〇三年
186     03 そしてゴアへ
189 第17章 カルナマヤの伝承
189     01 想像力
190     02 サヌ・カジ
196     03 ガネシュ・パネジュ
200 第18章 シヴァとマチェンドラナート
200     01 カトマンズ十二月二十四日
202     02 アサ・カジ
205     03 エリアーデの指摘
207     04 神の系譜・縦軸と横軸
210     05 カルナマヤとクマリ
213 第19章 観音菩薩
213     01 観音菩薩アヴァロキテシュヴァラの源流
218     02 水の神、豊穣の神
224     03 観音信仰の伝播
227     04 観音菩薩と日本
230 第20章 もう一つの祭り
230     01 処女神の新たな解釈へ
233     02 ラト・マチェンドラナートの祭り
236     03 祭りの進行-カトマンズ調査二〇〇六年
239     04 祭りの始まり
244 第21章 モロッコへ
244     01 サハラ砂漠
245     02 ラト・マチェンドラナートの大祭
247     03 ブンガマティ-二〇〇三年五月五日~十二日
251     04 クマリの臨在
254     05 神と神を祀るもの
257 第22章 観音菩薩の起源と展開
257     01 大女神信仰の支流
259     02 マチェンドラナートとクマリ
262     03 一心同体の神
265 第23章 インドラジャトラとラト・マチェンドラナートの祭り
265     01 カトマンズ盆地は湖だった
266     02 二つの祭りの関係性
272 第24章 カトマンズの街角で
272     01 仏像工房-カトマンズ調査二〇〇九年
274     02 新クマリたち
278     03 失われていくもの
281 第25章 五〇〇人クマリ
281     01 ゾンクゥ(九十歳のお祝い)-カトマンズ調査二〇一〇年
285     02 インドラジャトラ再び
287     03 カンニャークマリ・プジャ
293 あとがき-処女神よ、永遠に
298 註一覧
298     はじめに、第1~2章
299     第3~4章
300     第5~6章
301     第7章
302     第8~9章
303     第10~11章
304     第12~13章
305     第14~15章
306     第16~18章
307     第19~20章
308     第21~23章
309     第25章
310 主要参考文献一覧

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これで、本書の内容が把握しやすくなりました。

索引も必要なのですが、こちらは100ページまでやったところで飽きました(笑)。

今回は、長いのでこれだけです。

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