2014年6月17日火曜日

Google IMEと中国史用語

MS IMEのユーザー辞書が吹っ飛びました。リカバー不能。

使い勝手の悪いMS IME(注1)に嫌気がさしていたところでもあるので、別のシステムに乗り換えを決定。

ATOKに戻ろうかとも思ったのですが、「そういえばGoogle IMEってのもあったな」と、タダなので軽い気持ちでGoogle IMEをダウンロードしてみました。

で、目ぼしい単語をシコシコ登録し始めたのですが、なんか変なんですよ。登録しなくとも出てくる単語がやたらある。

「ああ、これが例の・・・」と思い出しました。Google IMEが固有名詞にやたら強いという噂を。

今回は中国史用語に焦点を絞りますが、他の分野でもきっと驚くようなマニアック変換が見られるのでしょう。

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「Google IMEと中国史」というテーマでは、中国史の達人の方々が何年も前に試してリポートしておられます。

・nagaichi/枕流亭ブログ > 2009-12-04 「Google 日本語入力」を試してみた(中国史篇)
http://d.hatena.ne.jp/nagaichi/20091204/p1
・宣和堂/宣和堂遺事 宣和堂の節操のない日記 > Google日本語入力(2009/12/05)
http://sengna.com/2009/12/05/googlejapanie/

そこでは、Google IMEの実力は認めておられるものの、すでに膨大な単語登録を済ませてある自前のユーザー辞書を超えるものではなく、あわてて乗り換えるほどではない、といった評価ですね。

でも私のようにユーザー辞書をまるごと失った人には、これは使いでがあります。なにせ今まで手打で登録していた単語の多くが、すでに登録されているんですから。

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私の場合はというと、

「玄奘(げんじょう)」「鳩摩羅什(くまらじゅう)」。この辺がちゃんと出てきたあたりでは「ほー、なかなかやるな」程度でしたが・・・

「吐谷渾(とよくこん)」が一発変換されるに至り、「むむむ、これは・・・」に変わり・・・

「愛新覚羅(あいしんぎょろ)」で顔色を失いました。

そして「上京会寧府(じょうけいかいねいふ)」の一発変換で大爆笑。

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あまりにおもしろいので、思いついた固有名詞をどんどん変換してみると・・・・これは爆笑に次ぐ爆笑です。なんでこんなのまで出るの?というマイナー固有名詞までどんどん出る。

ただただ羅列してみますが、もうおもしろくておもしろくて、それだけで数時間。

康有為(こうゆうい) 朱元璋(しゅげんしょう) 烏魯木斉(うるむち) 道武帝(どうぶてい) 子路(しろ) 公冶長(こうやちょう) 史朝義(しちょうぎ) 寧宗(ねいそう) 伍子胥(ごししょ) 龐涓(ほうけん) 忠烈王(ちゅうれつおう) 汴京(べんきょう) 沙陀突厥(しゃだとっけつ) 奄蔡(えんさい) 咸豊帝(かんぽうてい) 北虜南倭(ほくりょなんわ) 林則徐(りんそくじょ) 献文帝(けんぶんてい) 海陵王(かいりょうおう) 沮渠蒙遜(そきょもうそん) 赫連勃勃(かくれんぼつぼつ) 冉閔(ぜんびん) 慕容廆(ぼようかい) 慕容垂(ぼようすい) 完顔阿骨打(わんやんあぐだ) 耶律阿保機(やりつあほき) 李存勗(りそんきょく) 牛僧孺(ぎゅうそうじゅ) 大祚榮(だいそえい) 蚩尤(しゆう) 啓民可汗(けいみんかがん) 伊尹(いいん) 饕餮(とうてつ) 福康安(ふくこうあん) 琅邪郡(ろうやぐん) 大戴礼記(だたいらいき) 華陽国志(かようこくし) 和氏の璧(かしのへき) 炎帝神農(えんていしんのう) 伏羲(ふくぎ) 女媧(じょか) 黄帝軒轅(こうていけんえん) 蒼頡(そうけつ) 后稷(こうしょく) 公孫無知(こうそんむち) 闔閭(こうりょ) 夫差(ふさ) 勾践(こうせん) 犬戎(けんじゅう) 臨淄(りんし) 邯鄲(かんたん) 粛慎(しゅくしん) 悪来(おらい) 孺子嬰(じゅしえい) 霍去病(かくきょへい) 安慶緒(あんけいちょ) 李継遷(りけいせん) 耶律大石(やりつたいせき) 衛紹王(えいしょうおう) 陳友諒(ちんゆうりょ) 明玉珍(めいぎょくちん) 隆武帝(りゅうぶてい) 張献忠(ちょうけんちゅう) 洛陽伽藍記(らくようがらんき) 携王(けいおう) 斉民要術(せいみんようじゅつ) 竹書紀年(ちくしょきねん) 逸周書(いっしゅうしょ) 顧愷之(こがいし) 慕容皝(ぼようこう) 李茂貞(りもてい) 大明一統志(だいみんいっとうし) 西廂記(せいしょうき) 六盤山(ろくばんざん) 淮南子(えなんじ) 丘処機(きゅうしょき) 褚遂良(ちょすいりょう) 章炳麟(しょうへいりん) 孔頴達(こうえいたつ) 冀州(きしゅう) 堅昆(けんこん) 嬴政(えいせい) 挹婁(ゆうろう) 回鶻(かいこつ) 回紇(かいこつ) 賀蘭山(がらんさん) 彝族(いぞく) 大興安嶺(だいこうあんれい) 飲膳正要(いんぜんせいよう) 蘭亭序(らんていじょ) 

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この辺でやめますが、あーおもしろい。

このあたりの単語は、今まで全部手で登録していたわけですから、その重労働が一気になくなるのです。特に「嬴」だの「媧」だの、単漢字として出すだけでも一苦労する連中が楽々出てくるのですから、そのストレス解放度は相当なものです。

もう決めました。今後Google IME一本で行きます(注2)。

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ただし、私がよく使うチベット関係、モンゴル関係はほぼ全滅です。

拉薩(らさ) 達頼喇嘛(だらいらま) 忽必烈(くびらい/ふびらい) 察合台(ちゃがたい) 呼和浩特(ふふほと)

すら出ません。

でも、それ位ならいくらでも入力しますよ。楽なもんです。

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また、Google IMEはセキュリティ上の問題もないとは言えないようで、導入時にはちょっとした注意が必要です。

・IPA Better Life with IT 情報処理推進機構 > 情報セキュリティ > 2014年2月の呼びかけ 「知らない間に情報を外部に漏らしていませんか?」 ~クラウドサービスを利用する上での勘所~ (2014/02/04)
http://www.ipa.go.jp/security/txt/2014/02outline.html

この辺を参考にしながら、注意して使いましょう、ということですな。

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次に『水滸伝』の人名で試してみましょう。

李逵(りき) 呼延灼(こえんしゃく) 皇甫端(こうほたん) 王定六(おうていろく) 魯智深(ろちしん) 単廷珪(たんていけい)←ホントは「ぜんていけい」なんだけどなあ

全部一発変換(笑)。もう十分だな。

で、「もしかして・・・・」と、アダ名を入力してみると・・・

花和尚魯智深(かおしょう・・・) 豹子頭林冲(ひょうしとう・・・) 入雲龍公孫勝(にゅうんりゅう・・・) 九紋龍史進(くもんりゅう・・・)

もうアダ名を入力するだけで、名前がどんどん出てきます(笑)。これは便利・・・なのか?

「アダ名→名前」の変換が効くのは一部だけにしろ、とにかく大笑いできるのは間違いありません。

「及時雨(きゅうじう)」は出るけど、「宋江」は続いて出て来ない(笑)。「呼保義(こほぎ)」などはそれ自体出もしない。宋江はやっぱり人気ないね。

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ちょっと現代人もやってみましょう。

鄧小平(とうしょうへい) 趙紫陽(ちょうしよう) 胡錦濤(こきんとう) 習近平(しゅうきんぺい) 李克強(りこくきょう)

Google IMEは、検索エンジンGoogle上での入力結果をデータベースとしているらしいので、まあこの辺は楽勝でしょう。

「鄧小平」が一発で出てくれるのは素晴らしい。だけど単漢字では「鄧」は出ないんだな・・・。

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じゃ、コリアン固有名詞をコリア語読みで入力したら?

李承晩(いすんまん) 盧泰愚(のてう) 朴槿恵(ぱくくね) 金日成(きむいるそん) 金正恩(きむじょんうん) 新羅(しるら) 高句麗(こくりょ) 鬱陵島(うるるんど)

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ああ、もう疲れた。

Google IMEの話はもう少し続きます。

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(注1)

でもMS IMEは、「手書き文字認識」は優秀。これだけは今後も使おうと思っています。特に簡体字で。

(注2)

15年ほど前に検索エンジンGoogle が登場した時、その他の検索エンジンが一気に使われなくなりました。当然でしょうね。Google が出るまでは、検索結果の7~8割は目標と無関係のゴミだったんですから。

日本語入力の世界でもまたGoogleが一気に制圧してしまうかもしれません。といっても現れてからすでに5年か・・・。Google IMEの利用価値は、未だあまり知られていないかもしれませんね。

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(追記)@2014/06/29

こりゃいいわ、とスマホの入力システムにもGoogle IMEを入れたのですが、こっちは全然変換してくれません。実に平凡なIME。どうもパソコン版とは辞書が違うようです。

ガッカリ。どうなってんの???

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