2014年6月14日土曜日

ヒマーチャル小出し劇場(14) お城?シュリング・リシ・マンディル

クッルー県最南端バンジャール(बन्जार Banjar)。旅行者はほとんど行かない町です。そのバンジャールから数km山に入ると忽然と現れるのが、このシュリング・リシ・マンディル(शृंग ऋषि मंदिर Shring Rishi Mandir)。



日本人なら一目見て笑みが漏れるでしょう。まるで日本の「お城」なんですから。といっても石垣や堀はありませんから、天守閣だけですが。

よくよく見ると、建築スタイルはヒマーチャルによくある角塔寺院です。でも白塗りの壁が目立ち、それに加えて反り屋根に入母屋作り、とお城を思わせる意匠満載。壁のシンボル(何だかわかりません)も家紋を思わせます。

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この寺院は聖仙シュリンガ(ऋष्यशृंग Rishyashringa)を祀っています。聖仙シュリンガは、女色に迷って神通力を失った仙人として有名。

この神話は仏教のジャータカにも採用されました。さらに漢訳仏典として日本に渡り、『今昔物語』にも収録されます。そして謡曲・能の作品にもなりました。いわゆる一角仙人です。

では、ここが聖仙シュリンガ神話発祥の地か、というとそうではなさそう。聖仙シュリンガを祭った寺院でもっとも有名なのは、カルナータカ州Shringer近郊Kiggaです。どちらも神話を取り入れただけでしょうね。

神谷武夫先生の研究によれば、リシ(聖仙)を祀った寺院は、もともとは蛇神(ナーガ/ナーグ नाग Naga/Nag)の寺院であったケースが多いとのこと。Shring Rishi Mandirもそうなのかもしれません。

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この寺院が特異なのは、マラーナーのジャムルー神と交流があることです。ラーホール~マラーナー~キナウルとつながるヒマーチャル基層文化を探る上でも重要な場所なのですが、どんどん話が長くなるので、今回はこれで終わり。

小出し劇場なのに、また長くなってるな・・・。

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