在外チベット人といえば、ダラムシャーラーや南インド、ネパールあたりの居留地が有名ですが、チベット難民は世界各国で受け入れられています。
中でも受入数が多いのはスイス。2002年現在3000人。インド(10万人)、ネパール(2万人)、USA(5500人)に次ぐ数です(同じく2002年現在)。ちなみに日本には60人。少なすぎですよね。
参考:
・ダライ・ラマ法王日本代表事務所(チベットハウス・ジャパン) > チベットについて > 亡命チベット人について(as of 2014/03/21)
http://www.tibethouse.jp/exile/
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スイスでは1960年代前半と、早くからチベット難民の受け入れが始まっています。現在は、上記人数からさらに増え4000人を超えているようです。
参考:
・Wikipedia (English) > Tibetan Swiss (as of 1 January 2014)
http://en.wikipedia.org/wiki/Tibetan_Swiss
その受け入れの、初期の様子を伝える番組がありました。
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NHK特派員だより スイスのチベット避難民
1966初(20分) NHK総合
あまり知られていないが、スイスはチベット難民受入数ではインド、ネパール、北米に次ぐ(現在約3000人)。番組ではスイスのチベット難民の暮らしを紹介したものと思われる。
参考:
・毎日新聞
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情報が少なく、内容についてはタイトルから推察するしかありません。しかし、同時期の新聞記事で、これを補足できるようなものがあります。
・Tibet Sun > News > ST Gallen/Tibetans in Switzerland (before 2014/03/21)
http://www.tibetsun.com/news/1964/06/27/tibetans-in-switzerland
← 初出 : (1964) The Observer, 27 June 1964.
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この記事によると、ある居留地では大きな小屋(スイスで言うところのシャレー)に40人の老若男女が共同生活を送り、男は大工や工夫などで働きます。その収入を皆で分配して生活しているのですが、中国共産党から逃げて来て、そこで真の共産主義が成立しているのは皮肉な話です。
共同生活の中で、チベット式の衣類やチャンまで自作していたようですからたいしたものです。生活の中では、言葉の障害が最大の問題だったことは云うまでもありません。
スイスのチベット難民受け入れの特徴は、孤児を養子として迎えたケースが多いことでしょう。彼らは他の難民に比べてかなり恵まれた暮らしができたでしょうが、他のチベット人との接触も少なく、チベット人としてのアイデンティティもどんどん失っていったでしょうから、どっちが幸せなのか、一概には判断できませんね。
おそらくNHKの番組でも、このような話題が取り上げられたことでしょう。
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私が初めてチベットへ行ったのは、カトマンドゥから空路でした。そのとき隣りに座っていたのが、在スイス・チベット人。カトマンドゥでチベット人はよく見かけましたから、チベット人であることはすぐわかりました。「ああ、仕事かなんかでカトマンドゥに行って、チベットに戻る人なんだな」と思っていたわけです。
彼は私に「入国カードを書いてくれ」と言うのですよ。「中国籍チベット人なら中国語くらい書けるんじゃないの?」と思いましたが、渡されたパスポートはスイスのもの(今思えば、在スイス難民用パスポートだったよう)。当時は、スイスにチベット人がいることなど知りませんから、驚いてしまいました。
きっと里帰りだったのでしょう。アルファベットも漢字も書けないのですから、十分な教育を受けた方ではなかったと思います。それでもチベットへ里帰りできるだけの金が貯まったわけですから、スイスでのチベット人の生活はかなり恵まれている、と言えるでしょう。
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スイスのチベット人コミュニティについては、
・Tibetan Community in Switzerland & Liechtenstein
http://www.tibetswiss.ch/home.html
あたりをご覧下さい。
また、スイスにはチベット仏教僧院もできています。1985年にヨーロッパで初めてカーラチャクラ大灌頂が行われたTibet Institute Rikon(རི་ཀོན་ཆོས་འཁོར་དགོན་ ri kon chos 'khor dgon)、レマン湖畔のRabten Choeling Monastery(རབ་བརྟན་ཆོས་གླིང་དགོན་པ་ rab brtan chos gling dgon pa)。スイスに旅行される方は、行き先にこちらも含めてみてはいかがですか。
・Tibet Institute Rikon
http://www.tibet-institut.ch/index.html
・Rabten Buddhist Monasteries
http://www.rabten.eu/index_en.htm
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