2017年10月6日金曜日

唐代中国密教

えー、ネタがないので、引き続き「新アジア仏教史」ネタです。お次は、

・菅野博史・編集協力 (2010.6) 『興隆・発展する仏教』(新アジア仏教史07 中国 II 隋唐). 507pp.+map. 佼成出版社, 東京.


装幀 : 間村純一, 撮影 : 丸山勇

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この巻の前半では、如来蔵思想、唯識思想、地論宗、摂論宗、天台宗、華厳宗、浄土教、三階教あたりの解説が続き、かなり込み入った仏教理論に立ち入る。なかなか消化できずに苦労したが、それだけ日本での同分野の研究が成熟している、ということなのだろう。

続いては禅宗。これも宗派の流れがだいぶイメージできるようになった。

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そして自分にとって一番面白かったのが、

・岩崎日出男 (2010.6) 第6章 密教の伝播と浸透.『興隆・発展する仏教』(新アジア仏教史07 中国 II 隋唐)所収. pp.337-391. 佼成出版社, 東京.

これまで名前はよく聞くが、漠然としか理解していなかった

善無畏三蔵(शुभकरसिंह Śubhakarasimha/637-735/東インド烏荼国王家出身/Nalanda寺で修行/716入唐/『大日経』を伝える/長寿でも有名)

金剛智三蔵(वज्रबोधि Vajrabodhi/671-741/中インド王家出身/Nalanda寺で修行/719入唐/『金剛頂経』、灌頂儀礼、密教絵画を伝える)

一行禅師(683-729/河南出身/金剛智、善無畏に師事/『大日経疏』を著す)

不空三蔵(अमोघवज्र Amoghavajra/705-774/西域出身/金剛智に師事し『金剛頂経』を学ぶ/744~46海路渡印し経典収集/五台山・文殊信仰を推進)

恵果和尚(けいかかしょう/746-805/長安近郊出身/不空に師事し『金剛頂経』を学ぶ/善無畏の弟子に師事し『大日経』を学ぶ/『金剛頂経』『大日経』を両部として一元化/805空海に教えを授ける)

般若三蔵(प्रज्ञ Prajna/733-810?/Kapisi(迦畢試)国出身/Kashmir(迦濕彌羅)、Nalanda寺で修行/781海路入唐/『大乗理趣六波羅蜜多経』漢訳)

について、だいぶ理解が進んだ。

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中国密教と道教の(特に呪術においての)共通性と交渉についての考察もあった。昨年、「悪霊祓い」でだいぶ調べたこともあり、興味深く読んだ。

いや、この件はまだまだまとまっていないのだが、「インド呪術→密教呪術→道教呪術→日本の祈祷僧・陰陽師」という流れがありそうなことがだんだんわかってきた。まだ点でしか繋がっていないので、もっと理解が進んだら書きます。

その流れの分岐として、ボン教やチベット仏教の呪術が位置づけられそうでもある。道教呪術←→ボン教・チベット仏教呪術については、まだ十分整理できていないので、もう少し要調査。

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