2022年3月30日水曜日

2021年初詣も立川・矢川弁財天、そして丑年なので、牛のいる神社と Hindu Mandir

★Twitter 2021/01/01より転載+加筆修正★

初詣は例によって立川・矢川弁財天。カワイイ狛蛇で有名なところ。いつものようにのんびりした場所。




内院の白蛇様が塗りなおされていました。七年に一度塗りなおすんだそうです。あと、蛇神せんべいも新しくなっていました。前年までのせんべい屋がプリントせんべいの受注やめちゃって、別のせんべい屋になったそうな。砂糖がけがなくなりました。



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丑年なのに蛇は関係ないですが。牛のいる神社に参拝したければ、天神さんに行くといいでしょう。これは小金井神社の臥牛。初詣にもそのうち行こう。


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これは India - Himachal Pradesh - Bharmaur ( भरमौर ) - Chaurasi ( चौरासी ) 寺院群に祀られている真鍮製 Nandi ( नन्दि ) 像。Shiva 神の乗り物です。意外に古くて700年頃のもの。よくもつもんだ。


丑年らしい話題でした。

2019年7月16日火曜日

東豊書店より最後の発掘品 (5) 『宋代吐蕃史料集(一)』/『四川上古史新探』

最後だ。

・湯開建+劉建麗・輯校 (1986.7) 『宋代吐蕃史料集(一)』. 2+2+703pp. 四川民族出版社, 成都.



このシリーズは、

2012年2月10日金曜日 青唐王国関係論文リスト の巻

で簡単に触れた青唐王国(11世紀にアムド・ツォンカに栄えた吐蕃王家の後裔)の記事を、漢籍から拾ったもの。

元ネタは、北宋代の歴史をまとめた

・李燾・撰 (南宋1163-83) 『続資治通鑑長編』.

と、その散佚部分を復元した

・秦緗業+黄以周・撰 (清1883) 『続資治通鑑長編拾補』.

類似企画としては、

・陳燮章+索文清+陳乃文・輯 (1983) 『藏族史料集(二)』. 409pp. 四川民族出版社, 成都.

があるが、これは『宋史』から拾った記事が中心。上掲書はこれを補完するものになる。

それにしても分量が多い。上記エントリーでも書いたように、青唐王国の歴史というのは、一から十まで漢籍頼りなのだが、『続資治通鑑長編』にこれだけ膨大な記事があるとは知らなかった。これから(いつだ?)読むの大変。

なお、このシリーズは全3冊らしく、(二)は雑史などからの記事、(三)は考古史料などからの記事をまとめたものらしい。

(二)も(三)も見たことないねえ(笑)。今も見つかるとすれば、東豊書店くらいなものだったが、ついに見つけられずじまい。残念だ。

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・任乃強 (1986.6) 『四川上古史新探』(巴蜀史研究叢書). 330pp. 四川人民出版社, 成都.



これも古い本だが、状態はすこぶるいい(笑)。さすが東豊書店の在庫。

上編 羌族的遷徒與蜀族的発展
下編 巴的興亡與古老土著

に分かれている。

上編は四川の上手・成都あたりから西の古代史を、下編は四川の下手・重慶あたりの古代史を記述している。

上編前半は羌の歴史が延々続くので、チベット者にとってもおもしろい。後半は、蜀山氏、蚕叢氏、魚鳬氏、開明氏、といった神話~『華陽國志』にみえる歴史を記述。

これは三星堆遺跡が発見される前なので、頼りにしているのは文献史料のみだが、今ならだいぶ違った記述になるのだろう。

下編の巴国については、これまで調べたことがなかったので、これも役に立ちそうだ。

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東豊書店の在庫も行き先が決まったようだし、本当によかった。いずれ、装いも新たに市場に現れてくるだろう。それを楽しみに待っていよう。

2019年7月13日土曜日

東豊書店より最後の発掘品 (4) 『納西東巴文研究叢稿』/『彝族古代文化史』

お次は、

・喻遂生 (2003.9) 『納西東巴文研究叢稿』(西南師範大学漢語言文字學研究叢書). 1+2+370pp. 巴蜀書社, 成都.



雲南省麗江周辺に住む納西族の宗教・東巴教の経典で用いられる東巴文字についての研究書。

東巴教は、チベットの土着宗教ボン教の古い姿の流れをくむ宗教と考えられ、仏教の影響が色濃い今のボン教では失われてしまった伝承、教義、儀式を保存しているので、チベット研究にとっても重要な存在なのだ。

こういう本も何冊か持っているが、それらの補足として使うことになるだろう。

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・張福 (1999.2) 『彝族古代文化史』. 7+633pp. 雲南教育出版社, 昆明.



お次は四川~雲南の彝族。

彝族の祖先は、古代には烏蛮と呼ばれ、南詔王国(728~902)を建てた。これもチベット古代史ではジャン འཇང་ 'jang(「詔」のチベット語読み)と呼ばれ、重要な存在だ。

この本も、その南詔あたりから現代の彝族の文化についての研究書かと思ったら、さにあらず。それより前、春秋戦国~南北朝時代の彝族の先祖についてが中心の研究書だった。

先史時代から始まって、羌戎、濮、九隆、望苴子、蒲蛮、僰、嶲といった彝族の形成に関係があったとされる古代民族についての記述が続く。

その後は、現代の彝族宗教・神話より、古代の痕跡を探る。

そしていよいよ本論は、滇、爨(さん)についてだ。このまま烏蛮~南詔に行くのかと思いきや、なんと三国・南北朝の爨で終わり。これは意表を突かれた。隋唐より前の古代でおしまい、というまさに古代も古代だ。タイトルに偽りなし。

爨からは、東の烏蛮~彝族、西の白蛮~白族が分かれたとされており、重要な古代民族なのだ。

これはじっくり読むとかなり使いでがありそう。600ページ以上あるし。しかしこのページ数で、烏蛮も南詔も出てこないんだから、濃すぎる内容。

他の店ではどれくらいの売値なんだろう?と検索してみると、なんと日本にある中文書店のリストでは引っかかってこない。意外にレアものであることがわかった。国会図書館や大学図書館にはあるようだけど。

それにしてもこんな本がゴロゴロしていた東豊書店の貴重さがますます身にしみてきたよ・・・。